姫は王となる。





「…王様が悪いわけじゃないよ…じゃなかった。…ですよ」


「!」


一番大きな子供が、ボソッとそう言った。
敬語を使えと言われたからなのか、戸惑いながら言い直した。


「…お父さんとお母さんを殺したのは、北国の人間だった…です。その時に、"恨むなら、この国の王を恨め。王に力がないから国民が犠牲になる"って言いながら、皆を殺し家や畑を焼いたんです」

当時の証言と思われる言葉に、下げていた頭を上げた。



「だから、昨日は王様が悪いと思って…だから、あんなことを言ってしまいました。お父さんやお母さんや皆が殺されたのは、王様のせいだと思ったから…です」


子供たちと目を合わせると、目には涙が溜まっている。



「けど、今の王様を見て…王様は悪い人ではないと思いました。…失礼なことを言ってしまい、すいませんでした」


大きな子が頭を下げると、他の二人も続けて頭を下げた。

キュンー

「…」


そんな子供たちを見て、胸が苦しくなる。


何故、この子達が謝らなければならないのかー…

悪いのは、村人を襲った北国の人間たちー…
そして、力のない私だ。









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