姫は王となる。
「…老婆」
「はい、王様」
また涙が出てきそうなのを抑え、老婆に指示を出す。
「この子達の傷が癒えるまで、城で保護をしろ。傷が癒えたら、城から一番近い街に住む場所を用意し、世話役を一人付けろ」
そう言うと、子供たちは目を真ん丸とさせた。
「貴方たちが幸せに暮らせるように、私も全力を尽くす。…もう、悲しいことがないように」
そう言うと子供たちに背を向け、扉に向かって歩き出す。
老婆と副長が慌てて膝まつき、深く頭を下げ道を開けた。
「王様!」
「!」
子供たちに呼ばれ、扉に向かっていた足を止めた。
「「「ありがとうございます」」」
3人揃って、元気な声でお礼を言われた。
「…っ」
お礼を言われ、驚いたがー…
振り返りもせず、何も言わず、止まっていた足を動かし子供たちの部屋から出た。