姫は王となる。


次から次へと、流れ落ちる涙。


「王様…いえ、花蘭様…」

風は、静かに立ち上がった。



「今さっき、子供たちと会ってきた」

「…はい」

「批判される覚悟で行ったのに、あの子達は最後には私にお礼を言ったんだ。"ありがとうございます"って…自分たちの両親を殺されたのに…私に力がないせいで、殺されたのに!!」


「あの子達は、涙を流すのを我慢していた。
なのに私は、涙を流してしまった。
泣きたいのは、あの子達なのに。

私が涙を流してしまったせいで、あの子達は泣けなかった!!」




感情のままに、思ったことを風にぶつけた。




老婆や副長や警備兵が居たら見せれない、私の本心。

王様でいたら、出せなかった感情。


風にしか見せれない、私の弱い部分。





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