姫は王となる。
「…遺体で見つかったということは、どういうことだ?」
窓際で、カーテンを閉めている風に向かって聞いた。
「先日、襲われた村に遺体が遺棄されていた報告がありました。ただ今、護衛兵数人が遺体を回収しに行っています」
カーテンを閉めると風は、目の前に膝まつき頭を下げた。
「襲われた村には、数人の護衛兵を置いてきました。昨日はなかった場所に、遺体があったという報告もありますので、恐らく他の場所で殺害され遺棄された可能性が高いと…」
他の場所で殺害…
ということは…
「口封じのためか?」
「…そうなると思います」
村を襲われた子供たちは、北国の人間に襲われたと証言したが、子供たちの言葉だけでは証拠にはならない。
国土大臣が違法に手引きし、北国の王をこの東国に入れた証拠が欲しかったのにー…
「牢屋に入っている男はどうなっているのですか?」
言葉を失っていると、今まで黙っていた老婆がそう聞いた。
「それも、とても言いずらいのですが…今朝、自害したと…」
「なっ…」
「申し訳ございません!!」
風が床に手をつき、さっきよりもさらに深く頭を下げた。