姫は王となる。



「こちらで、お待ちになっております」

応接室の扉の前に立つ、警備兵が膝まつき言った。

「あぁ…」

そう返事をすると、後ろに付いてきていた風が扉をノックした。


コンコン


「王様がお見えになられました。失礼致します」

そう言いながら、応接室の扉を開けた。


「どうぞ、王様」

そして頭を下げ、中に入るように促す。


「あぁ」

小さな声で返事をすると、足を応接室へと一歩踏み入れた。


「お待ちしてましたよ。花蘭女王様」

ソファーに座っていた西国の王子は、立ち上がり出迎えた。
応接室の中央には、向かい合わせにソファーが置かれていて、中央には机が置いてある。
会議が行われる部屋とは違い、話す相手との距離が近いようになっている。


「…お待たせして申し訳ない」



不法入国しといて、"お待ちしてましたよ"っておかしいよね?

そんな不満もありながらも、王として振る舞うために無表情でソファーに座った。


ソファーの後ろには風がつき、警備兵は扉の前に2人いる。


「失礼致します」

西国の王子はそう言いながら、ソファーに座った。



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