姫は王となる。
"王様、私のことは気にならさずに"
「!」
風が背後から、小さな声で言った。
そうだ…今は何故、西国の王子が来たのかを聞かなければー…
「では、カイト。何故、今日ここに来たのかをー…」
「北国の言う通りだな。今の東国の王は、護衛長の言いなりだって」
「!?」
護衛長の言いなり…!?
しかも、北国の言う通りって…
「…っ」
何それ…何それ!
"王様、挑発かもしれません。聞き流してください"
あぁ、わかってる。
わかってるけど…
「カイト…」
私の護衛長…
風に対する失礼な言動、もう許せない!
「後ろにいる護衛長への失礼な言動…それは、私への挑発だと思っていいのだな?」
怒りをぶつけてやりたいのを抑え、あくまでも冷静に怒りを込めた声のトーンで言った。