姫は王となる。
じっと目の前に座るカイトを見ると、カイトの視線は後ろの風に向いている。
「…」
何故…王である、私ではない?
「…東国の王は護衛長の言いなりな上に、そこが最大の弱点だとも言ってたな。やはり、その通り」
「!?」
ニヤリと笑いながら言ったカイトに対し、後ろにいた風が俊敏な速さで、守るようにカイトとの間に入った。
「カイト様。北国の言う通りと仰ると言うことは、北国と繋がっていらっしゃると受け取ってよろしいのですね?」
「!」
風はそう言いながら、腰に差している剣を抜く態勢に入る。
ドクン
ドクン
お互い睨み合い、緊迫した空気が流れる。