姫は王となる。


「我が西国は、東国とは先代の王様から友好的な関係を築き上げて参りました。私の父…西国の王としては、東国を攻めることなどは一切しないと言っておりました」

「…そうか」



"攻めることなど一切しない"
西国の王がそう言っているということを聞き、心からホッとした。


父様が西国と、友好的な関係を築き上げてくれたおかげだ。


「我が西国としては、北国が東国に行った行為は大変遺憾なことだと思っております。西国の王も、何か力になれることがあればと仰っておりました」

西国の王が!?


「…それは、心強い」

この辺りの国では、一番大きな国だと老婆が言っていた。その西国の王が、力になってくれると言う。
そんな心強いことはない。


嬉しさのあまり、背後に立つ風を見上げた。



「…」



しかし風の表情は険しく、カイトを真っ直ぐと見ている。





…風は、嬉しくないの?












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