姫は王となる。
「国土大臣が遺体で発見されたと、北国に送っていた隠密から報告があった時、北国の本来の目的の情報も入ってきました」
「本来の目的…それを知っていてなぜ先程、王様に報告を伝えた時に言わなかったのですか?王様も、北国の目的がわからずに悩んでおられたのですよ」
その通り…
今まで私も、王様も北国の目的がわからずに悩んでいた。
なぜ、王様と王子様を殺したのかー…
なぜ、国境近くの村を襲い、村人たちを殺したのかー…
北国がそんなことをした、理由はー…
「北国の目的は、お妃様です」
そう老婆に伝えると、目を見開いて驚いた表情を見せた。
「お妃様…なぜ…」
老婆にも、北国がお妃様を狙う理由がわからないだろう。
目が泳ぎ、戸惑っている。
老婆が戸惑うのも、無理はない。
私も本来の目的を聞いた時に、信じがたかった。
「北国が先代の王様と王子様を殺害し、お妃様を人質に取った理由は、お妃様への北国の王の異常なほどの執着心です」
「しゅう…着心…」
老婆はさっきよりも目を見開いて驚き、言葉を失った。
「はい。隠密からの報告によると、北国の王は10年以上前からこの計画を立てていたそうです。10年以上前というと、各国の議会がこの東国で行われていました。その時たまたまお妃様をお見かけし、自分の物にしたいという異常な執着心が生まれたと、北国では噂になっているそうです」
「そんな…先代の王様は、そのことを知っていたのでしょうか?」
「推測ですが、知っていらっしゃったと思います。きっと、お妃様も…だから、何の抵抗もせず人質になられたのだと思います」
「でも…もし知っていらしたら、先代の王様も、こうなる前に何か対策を考えられていたのではないのでしょうか?」
その通り。
だから、あの日ー…