姫は王となる。
「先代の王様と王子様が殺害された日、表向きでは北国との交流を深める外交となっていましたが、本来の目的はお妃様のことだったと思います。牽制する前に、殺害されてしまいましたが…」
「しかし、10年以上も前からで…なぜ、今…」
「先代の王様は、西国と友好的関係を築き上げてきました。それは北国と対立してしまった時に、西国を味方につけるためだったと思います。それを知った北国が慌てて計画を実行し、お妃様を人質に取った…しかし、それで終わりではなかったのです」
何故、このタイミングで西国の王子が現れたのかー…
先代の王様は、最悪の場合のことを考えて手を打っていたからだと思う。
「終わりではないというと…お妃様を人質に取り、自分の配下に置いたのではないのですか?これ以上、何を求めているのですか…」
「お妃様は手に入れても、心までは手に入れられていない。北国の王が次に欲しいのは、お妃様の心…きっと今、お妃様の心中はこの東国と、王になられた花蘭様のことばかりだと思います。ですからー…」
こんなことを考えたくはなかった。
けど、北国の本来の目的と今起こっている現状を考えると、事態は最悪な方向に向かい始めている。
「北国が次に狙ってくるのは、この東国と花蘭様のお命でしょう」
その前に、花蘭様の側近である私を狙ってくるだろう。
西国の王子の言う通り、そこが私たちの弱点だから。