姫は王となる。
「で…では、どうしたら…今までのことを思い返すと、北国は手段を選んでこないでしょう?」
老婆の顔色がだんだんと青白くなり、困惑している。
「幸いなことに、今このタイミングで西国の王子から縁談の話が出ました。西国の王様の提案だと仰っておりましたが、きっと先代の王様が最悪の事態を考えて手を打ってくださったんだと思います」
「縁談…王様と西国の王子とのですか?」
「はい。西国の王子…カイト様と王様が結婚されれば、東国のバックには西国が付きます。近隣国では、最大勢力の西国がバックに付けば、北国もすぐにお妃様を解放し、東国にはもう手を出さないだろうとの見解です」
「しかし、王様は…」
老婆は、そこで言葉を止めた。
"納得なさらない"
そう言おうと思ったんだろう。
しかし、言葉を止めたということは老婆も、これ以上の打開策はないと思ったから。
私もそう思っている。