姫は王となる。





王様の席の右側に風、そして今日は副長の雨宮も隣に並んだ。
老婆は左側の、風たちよりも一歩後ろに立った。



「本日、急遽会議を開くことになってしまった理由はもう、大臣方はご存じだと思います。国土大臣が遺体で発見されたこと。昨日、西国の第4王子カイト様が突然来訪されたこと。そして、西国の王様からカイト様と我が国の王、花蘭様との縁談のお話があったこと」

「!?」

ザワザワ


縁談の話があったと風が言うと、大臣たちはザワつき始めた。

…今日、会議でそのことを言うなど聞いてないー…


驚きのあまり、風を凝視してしまう。

しかし風は正面を向いたまま、凝視しているのも気付いているはずなのに、こっちを向こうとしない。

「…」


何を…考えている?



「カイト様との縁談の話は、東国にとって有り難いお話です。西国が後ろ盾になってくだされば、北国もすぐにお妃様を解放し、この国に手出しはしないでしょう」


ザワザワ



「…」


…なぜ。


「しかし、それは時間との勝負です。きっと北国には、西国の王子がこの国を訪れたということは伝わっているでしょう。縁談話があったということも伝わっていれば、今すぐにでもこの国を攻めて来ると思います」


ザワザワ

ザワザワ


さっきよりも、さらに大臣たちがザワつく。





「…」


なぜ、そのような言い方をするの?





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