姫は王となる。
良かったー…
目を閉じているが風の頬は温かく、呼吸は荒いが息をしている。
「…良かった…」
溢れでる涙が、風の頬を濡らす。
生きてる…
風が生きてるー…
「…花蘭様。もう、風様の治療をしなければ…」
担架を持つ1人が、遠慮がちにそう言ってきた。
「そうね…ごめんなさい。お願いね」
涙を指で拭いながら、風から離れた。
担架を持つ二人は一礼をすると、風を治療室へ運んで行った。
その姿をみえなくるまで見つめていると、年配の男達が数人やってきた。
「花蘭様」
そして、数人の年配の男達は目の前に膝まつき、頭を下げた。
膝まついている年配の男達は、父様の大臣たちだ。
「花蘭様…いえ、王様。今後のご指示をー…」