姫は王となる。
私の未来ではない、この国の未来を考えてー
"…もう、いい加減…ご自分が王だということを自覚してください"
「…わかってる」
"王様をお守りするのが我々、護衛兵の務めでございます。その守るべき対象を、わざわざ危険な場所に連れて行けるとお思いですか?"
「わかってる!!!」
自分自身に言い聞かせるように、大きな声で叫んだ。
「…わかってる」
風が言っていることが正しい。
けど、頭では王でいなくてはいけないと思っていても、風のことになってしまうと私は、私自身になってしまう。
西国の王子との縁談のことも、北国との国境の境界線のことも…一言、私に相談して欲しかった。
たとえ、それしか答えがなかったとしても。
勝手に、一人で決めないで欲しかった。