姫は王となる。



「その様子では、北国の本来の目的も知らないのでしょう?」

ドクン!

「カイト様っ…それはっ」


老婆が声を荒げたが、慌てて口を押さえた。
その行動を見て、また知らなかったのは私だけかとー…


「…北国の本来の目的は何だ?」


もう、老婆を問い詰める気力もない。




知っていながら、なぜ風は私に言わなかったのかー…






「北国の本来の目的は、花蘭女王様のお母様…お妃様ですよ」


…お母様…?


どうして?


「なぜだ?」


目的は、お母様と聞いてもピンとこない。
北国の王とお母様の接点など、聞いたこともない。



「北国の王は花蘭女王様のお母様に、異常な執着心をお持ちです」

「異常な…執着心…」

「はい。花蘭女王様のお父様と、お兄様を殺害した理由もそれでしょう。邪魔者を排除するため」


ドクン!


「カイト様!そのような言い方…」
「いい」

老婆が、カイトに文句を言おうとしたのを止めた。


「そして、今度狙ってくるのはこの国と…花蘭女王様です」


この国と、私ー…

「…北国は、お母様を人質に取っているではないか…なのに、どうして…」


執着心でお母様を手に入れようとしたなら、人質に取ったところでお母様をもう、手に入れているではないのか?







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