姫は王となる。
「花蘭女王様、西国から応援の護衛兵数百人が到着致しました」
きらびやかなドレスから、外出用のシックなドレスに着替え、高いヒールの靴から動きやすい靴に履き替えた。
長い髪も、高い位置で一つに縛った。
城の正門まで来ると、カイトと西国の護衛兵数百人が膝まつき待っていた。
「どんな服装でも、お綺麗ですね」
カイトはそう言いながら立ち上がり、隣りに並んだ。
綺麗?
そんなことは、どうでもいい。
「北国との国境の状況は?」
カイトに聞くと、眉間にシワを寄せた。
「両国の睨み合いが続いている状況です。いつ、戦になってもおかしくありません」
ドクン
「そうか…」
「あと、もう一つ。朗報です」
「朗報?」
"何だ?"と思い、隣にいるカイトを見上げた。
「北国の王も現地に来ているそうです」
ニヤリと不適な笑みを含め、カイトが言った。
「…」
北国の王がいるー…
ドクン
父様と兄様を殺し、母様を人質に取りー…
北国との国境の村を襲い、村人47人を殺し子供たちの両親を奪った北国。
そして、今度は風を殺そうとしている。
その後は、私の命をー…