姫は王となる。
第1章 王となる。
王命を言い渡す
もう着ることはないウェディングドレスを眺め、自分が王となった現実を受け止めるー…
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父様と兄様が北国に殺されてから、3日後。
大臣達を招集し、今後の国の方針と北国への対応についての会議を行った。
「北国の目的がわかりませんな…今までの外交で、特に変わったことはなかったはずだが…」
「お妃様が何故、人質に取られたのかもわかりませんな」
「しかし、このままでは許されませんよ。こっちは、王様と王子が殺されてしまったんです。報復はすべきでは?」
「いや、その前に国内の安定を優先すべきでは?国民は突然の、王と王子の訃報に動揺しています。今後の国についても、不安視しているという声も聞こえてきていますが…」
城の中心にある会議室で、大臣達が向かい合って座り話し合いを行っている。
王となった花蘭は、そのテーブルの一段上がった上座に座り、その様子を黙って聞いている。
王位を継承することはないと思っていたため、こういう会議に参加するのは初めて。
しかも大臣達は、父様と同い年かそれよりも年上のおじさんしかいない。
私の横には側近として老婆が立っているが、よっぽどのことがない限り、口を出してこない。