姫は王となる。
「風っ!!もう戦わないで!!!」
「っ!花蘭女王様、いけませんっ!!」
再び、北国の王と対峙している風の元に行こうとしたが、西国の護衛兵たちに止められた。
「そこを、どけ!!」
「なりません!」
「これは王命だぞ!?」
前を塞ぐ護衛兵に声を荒げ、道を開けるように命令する。
「しかし…」
王命と言われ、少し怯んだ護衛兵たち。
「いいから、早くどきなさ…」
「花蘭女王様が護衛長の元に行けば、あの護衛長は死にますよ」
ビク!
「ちゃんと見て下さい。今だって、自分を守ることで精一杯です」
カイトに肩を抱かれ、同じ目線で風を見た。
確かにカイトの言う通り、いつもよりも動きが鈍く見える。
「だったら、なおさらっ…風を止めないとっ」
「いくら花蘭女王様でも、止められませんよ」
「そんなことっ…」
「あの男は、北国の王を自分の手で殺すまで戦い続けます」
ドクン
「…なぜ…」
そこまでー…
「言いましたよね?あの男は、死ぬ覚悟で来てるって。…愛する女を守るためなら、男は命を懸けますよ」
「…」
愛する女…
「そういうやり方でしか、もう花蘭女王様を愛せないとわかっているのでしょう」
そんな愛し方をされても、嬉しくない。
「そんなの…間違ってる」
私は…
私たちは、生きて帰らなきゃいけないの。