姫は王となる。
生きて
「…やった」
隣にいたカイトが、ボソッとそう言った。
「やったぞ!!!」
カイトが拳を空に向かって挙げると、周りにいた護衛兵たちから拍手喝采が起こった。
ワァーワァー
パチパチ
「花蘭女王様!やりまし…」
「風!!!」
カイトが握手を求めてくる手を跳ねのけ、風の元に駆け寄った。
「風!!!」
北国の王は、風の手によって死んだ。
北国の護衛兵たちも、王様が死に戦意喪失している。
そのため、もう誰も私を止める人はいない。
「風!!!」
何度呼んでも、風が振り返ることはない。
剣を支えに膝まつき、肩で息をしている。
「風!!!」
あと一歩で、風の肩に触れるという距離で…
「っ…風!!!」
風が、力なく倒れた。