姫は王となる。
¨…本当に大丈夫なのか、この国は…¨
聞こえてきた言葉が、頭の中でもう一度繰り返された。
「…っ」
泳いでいた視線を止め、目の前に座る大臣達の表情を見た。
「誰だ、今言ったのは!王に対して、失礼ではないか!!」
一人の大臣が立ち上がり、声を上げた。
「…いや、いい」
花蘭は片手を顔の高さまで上げ、声を上げた大臣を制止させた。
制止させられた大臣は、まだ何か言いたそうな表情をしていたが席に座った。
座ったのを確認すると、再び大臣達の表情を見渡した。
目が合えば俯く者、真っ直ぐと見返してくる者、不安そうな表情を浮かべている者、私を王として認めていない者…
「…一週間後に、会議を行う。それまでは北国の情報収集と、国民の安全確保。以上」
指示を出し席を立つと、大臣達も一斉に席を立ち、膝まついて頭を下げた。
部屋の扉に向かって歩き出すと、数歩離れて老婆が付いてくる。
扉の前まで来ると、立っていた警備兵が扉を開けた。
「…なんとかしなければいけない」
会議室から出る時、そう一人言を呟きながら部屋の外へと出た。