姫は王となる。






「花蘭様、どうぞ。こちらにお着替えください」



全てが済み、最後にメイド達が差し出したのは…







「…どうして…」






クローゼットの奥に閉まってあった、ウェディングドレスだった。



「これ…風とのウェディングドレス…」

ウェディングドレスを震える手で指さしながら、老婆を見た。


「はい。その通りでございます」

老婆は膝まつき、頭を下げた。


「なんで…」

どういうこと?



「西国の王子との縁談は、破談となりました」

ドクン!


「え…」

カイトとの縁談が、破談ー…


「お決めになられたのは、お妃様です」

「母様がー…なぜ?」


北国と戦うために、西国との縁談を受けた。
けど、こんなに早く破談にするとはー…
この東国にとって、良いことはない。



「お妃様も責任を感じております。北国の王の身勝手な行動とはいえ、先代の王様も王子様も亡くなり、結婚式を挙げる直前だった花蘭様と風にも迷惑をかけてしまったと…」


母様が…そんなことをー…


「でも、カイトとの縁談は破談になったんだろう?このウェディングドレスは…必要ないだろう?」



老婆にそう問いかけると、今まで下げていた頭を上げた。





「それは、ご自分の目で確かめてください」


微笑みながら老婆は言うと立ち上がり、ウェディングドレスを手に取った。


「参りましょう。お待ちになっている方がいます」



…え?





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