姫は王となる。
あの大臣達の不安そうな表情、私が王であることが不服そうな表情…
口では王と言いながら、内心は納得できていないんだろう。
王室に戻るため廊下を歩きながら、さっきの会議室のことを思い出す。
大臣達が不安になるのもわかる。
王としての勉強を何もしてこなかった姫様が、王になったんだから。
けど王を継いだ者として、この東国を守らなければいけない。
そんな責任重大な重みを、私が抱えきれるのかー…
「王様!お伝えしたいことがございます」
王室に向かっている途中、一人の警備兵が目の前に膝まついた。
「何用だ?」
後ろに立つ老婆が、代わりに答えた。
「はっ。風様の意識が戻りましたことをお伝えしに参りました」
頭を下げながら、警備兵がそう言った。
「風の意識が…」
戻ったー…