姫は王となる。
普段、パーティー会場として使っていた大広間。
全ての窓がステンドグラスで出来ていて、太陽の光が射すと幻想的な雰囲気になる。
その大広間の中央にー…
「風…」
タキシード姿の風が立っていた。
何で…どうして?
やっぱりこれは夢なの?
扉の前から一歩も動けずにいるとー…
「ご心配をお掛けして申し訳ございませんでした。王様…いえ、花蘭様」
風はこっちに向かって膝まつき、頭を下げた。
「本当に…風なの?」
「はい。私です」
「本当の、本当に…?」
まだ信じられなくて、夢なんじゃないかと思って、足が踏み出せない。
「ははっ。本当の、本当に私ですよ」
風は笑い、立ち上がった。
「只今戻りました。花蘭様。お待たせして、申し訳ございません」
優しく微笑みながら、風は真っ直ぐと目を合わせてそう言った。
「っ…」
私の好きな風の笑顔。
私が愛した人。
風が生きていたー…