姫は王となる。
「それをお伝えしたくて、本日は参りました。それでは、私は帰ります」
カイトはそう言うと、ソファーから立ち上がった。
「あ、そうだ。護衛長」
「はい。カイト様」
「前に、自分が何をすればこの国のためになるか考えろって言ったけど、死ぬ覚悟以外に今は何かできたのか?」
カイトの質問に室内が、シー…ンと静まり返る。
「…」
風とカイトがそんなやり取りをしていたなんて、初耳。
「…私は生死をさ迷って、生きることを選択されました。ですので今後は、花蘭様と共に生きていく覚悟です。そしてこの国のために、花蘭様のお力になれたらと思っています」
「っ…」
ドクン
ドクン
風ー…
「護衛長と王様では身分の差がありすぎると思っていたが、そういう関係もあってもいいと思う。王族だって、ただの人間だしな。身分の差など関係なしに、愛することは罪ではない」
カイトがふっと笑いながら言い、扉に向かって歩き出した。
「…」
"身分の差など関係なしに、愛することは罪ではない。"
カイトの言葉が、印象的に心に残った。