姫は王となる。
…そうかー…
罪ではないのかー…
カイトの言葉に、ふっと笑みが出てしまう。
「花蘭様…いえ、王様。カイト様がお帰りになられましたが…」
風が、ソファーの後ろに立ったまま言った。
「 風 」
「はい。王様」
「私たちは罪ではないのだな」
「…」
そう聞くと、風は黙ってしまった。
護衛長として、答えづらいのかー…
昨日、私たちは結婚式に着るはずだったウェディングドレスとタキシードを着て再会をした。
しかし、実際に結婚式を挙げられるわけでもなく、母様の厚意で着ることを許されただけだった。
カイトとの縁談が破談となったから、風と結婚できるわけではなかった。
今まで通り、王様と護衛長の関係がきっと死ぬまで続く。
身分の差は、どうにもならない。
けど、私たちが想い合っていることは罪ではない。
王でも、風を好きでいていいのだと…
カイトの言葉でそう思った。