姫は王となる。
「花蘭様、ご婚約おめでとうございます」
「ありがとう」
廊下をすれ違う人達が、足を止め頭を下げる。
そして私が通り過ぎてから、再び歩き出す。
私よりも何倍も歳上の人が、頭を下げ道を開ける。
小さい頃からずっとこういう生活だけど、この生活も後少し…
今日、北国に父様と兄様の護衛の任務で行った風が帰ってくれば、すぐに結婚式を挙げる。
私の18歳の誕生日に、風と結婚式を挙げることが、小さい頃からの私の夢だった。
その夢が、やっと叶う。
「花蘭」
「…お母様」
真っ正面から、私の何倍もの護衛に守られた、お母様が来た。
「式の準備は進んでいるの?」
「はい」
お母様とはいえ、現国王の妻…私よりも地位が高いため、頭を下げる。
「そう、良かったわ。楽しみにしてるわ」
「はい…ありがとうございます」
頭を下げたままお礼を言い、お母様が通り過ぎるのを待つ。
足音が小さくなったところで頭を上げ、再び歩き出す。