姫は王となる。
窓から入ってくる風で、カーテンが揺れている。
「…風」
ベットの側まで来ると、風の顔を覗き込んだ。
頭には包帯を巻き、はだけた胸元には大きなガーゼが貼られている。
「っ…」
風の痛々しい姿に、堪えていた涙が出てきそうになり、風から目を背けた。
風は生きていた…けど、こんなに痛々しい姿など見たくない。
「…花蘭様」
「!」
背けた顔の頬に、包帯で巻かれた手が触れた。
…温かい。
傷だらけの手だが、温かさは伝わってくる。
その温かさを感じているとー…
「花蘭様…申し訳ございませんでした」
「!」
風が突然、謝った。
驚いて、背けていた顔を風に向けた。
「王様と王子様をお守りできず、申し訳ございませんでした」