姫は王となる。
今の私には、まだわからない。
けどー…
「本日付けで、護衛の任務を解く。傷が治り次第、実家に戻り療養せよ」
私は風が生きていて、心から良かったと思っている。
だから、処罰など受けさせられない。
「…花蘭様」
呆然とした表情の風と、目が合った。
「…お母様を大切にしなさい」
そんな風を見ていられず、背を向け部屋の扉に向かって歩き出す。
「花蘭様!いえ、王様!!お待ち下さい!」
風が大きな声で呼び止めるが、足を止めることはない。
「王様っ!いてっ…」
悲鳴に近い声が風から漏れ、一瞬足が止まりそうになったが部屋の扉に手を掛けた。
「王様!!」
パタンー
風の叫ぶ声が、扉が閉まった後でも聞こえてきた。