姫は王となる。
国土大臣と名乗る男は、上座に座る花蘭の前に膝まついた。
父様よりも年上で、見た目はおじいさんに近い。
「国土大臣よ、会議の時間はとっくに過ぎているぞ」
じっと国土大臣の男を見ていると、隣に立つ老婆が私の変わりに問いかけた。
「はっ…申し訳ございません。しかし、私は会議に参加するつもりで来たわけではありません」
頭を下げたまま、国土大臣はそう言った。
会議に参加するつもりはないだと?
国土大臣の発言に、眉がピクリと動いた。
「参加するつもりはないと!?よく王様の前で言えた…」
老婆がカッとなって怒鳴るのを、右手を上げて制止させた。
「…では何故、私の前に来たのだ?」
わざわざ、誰も来ない会議を見に来たのか?
「答えよ」
人に対してこんな冷たい声が出るのかと思うぐらいの声で、そう言い放った。