姫は王となる。





北国との国境近くの村だけではなく、城から一番近い街でも国民たちは、今の王では不安だと思っている。



滅多に接する機会がない国民たちが思っているなら、私と接する機会が多い大臣たちがそう思っていてもおかしくはない。


この国の先行きが不安な王に付いて行けないと思うのは、当たり前のことだ。





「…やっぱり、私ではダメなのかー…」



俯きながら薄暗い路地の奥に進んで行くと、一人の男が道の真ん中に立っていた。



「…」


気配で何かを感じ、俯いていた顔を上げた。


真ん中に立っていたのは、顔を黒い布で隠した男。



歩いていた足を止め、男と目が合った瞬間きらりと光る剣が目に入った。





「…花蘭女王様、お命頂戴する」


「!?」


ビュンー…


顔を黒い布で隠した男はそう言いながら、剣を振りかざしてきた。



嘘…



殺される!!!!!





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