姫は王となる。
風が私を助けに来たのもー…
城の護衛兵たちが助けに来たのもー…
何で?
どうして?
私は、黙って城を出て来たはずー…
すぐに気付かれて追ってくるにしても、もっと時間がかかってしまうはずー…
「風様!」
「!」
護衛兵に囲まれそんなことを考えていると、風と護衛兵たちが戻って来た。
俯いて考え込んでしまっていた顔を上げると、目に入ったのは追ってきた男の一人を捕えた風の姿。
左腕からは、剣で切られたのか出血している。
「…っ」
ドクン、ドクン。
そんな風の姿を見て、息が苦しくなる。
「王様を狙っていたのは、5人組の男達だった。一人は捕まえたが、後の4人は逃がした。今、残りの4人がどこに逃げ帰るのか確認するよう追わせてる。城に戻ったら俺が聴取をするから、牢屋に入れておけ」
「はっ」
私の目の前にいる護衛兵にそう指示を出すと、捕まえた男を引き渡した。
「城に戻るまで、王様の護衛は俺一人でいい。お前たちは先に戻り、老婆に今あった出来事を伝えろ。後、王様はご無事だとも…」
「はっ。王様、失礼致します」
護衛兵たちは頭を下げると、捕らえた男を連れて城に戻って行った。
森の中に残されたのは、風と私ー…