姫は王となる。
「花蘭様…いえ、王様。私は、王命を破りました。ですから…」
風はそれ以上、言葉を続けなかった。
「…」
王命を破りその罪を償うために、命を差し出すというのか?
私は風を傷つけたくなくて、死んで欲しくなくて遠ざけたのにー…
王命を破ったことで、王である私の手で風を罰するというのかー…?
「…私は、この国の王だと思えるか?風」
国民にも大臣にも誰にも認められていない私が、王命を下し、その王命を破ったということで、誰かの命を奪えるというのか?
「…もちろんです。王様」
風は頭を下げたまま、そう答えた。
…そうだ。
そう答えるしかないんだ。
けど、心のどこかで風は皆と違うことを言ってくれるんじゃないかと、勝手に期待していた。