姫は王となる。
「…王であった父様が殺され、王位継承第1位だった兄様も殺され、母様は父様と兄様を殺した北国の人質となった」
風も重傷を負ってしまった。
「だから、私が王となった。残っている王族は、私しかいなかったから。でも私は、中身は空っぽの王だ」
王としての振る舞い、決断力、この国を背負う重圧ー…ちゃんとしなくてはいけないけど、どうしていいかわからない。
「王位継承して1ヶ月経って、大臣たちは誰一人として会議に参加する者がいなくなってしまった。それは、私を王として認めていないということだろう?もう、見捨てたということだろう?」
問いかけても、風はずっと下を向いたまま。
どんな表情で話を聞いているのか、顔が見えないため不安になる。
けど、問いかけは止まらない。
「国民たちも、私には何も期待していない。むしろ、不満に思っている。そんな状態で、私はこの国の王だと言えるのか?」
私は風に何を求めているのだろう?
わからない。
けど、今まで我慢していた涙が溢れ、頬に静かに流れ落ちる。