姫は王となる。
「北国に向かっている道中、王様の隊が何者かに襲われたと報告がありました!!」
頭を下げたまま、警備兵が叫ぶように言った。
「…状況は?」
襲われた…?
今日は、父様も兄様も揃って外交に行かれた…護衛の数は、百人近くいるはずー…
「はっ…すぐに応援の部隊を使わせ、状況を確認させていますが……」
その中には、風もー…
「…壊滅的状況だと…」
ドクン!!
…壊滅的…状況?
「花蘭様に向かって、想像だけで言っているわけではないだろうな!?」
黙ってしまった私の代わりに、老婆が聞き返す。
「…はい」
…そんなー…
目の前が真っ暗になる。