姫は王となる。
北国との国境の村に一人で視察に向かっていた私は、街の路地で黒服の男に殺されそうになった。
そこに何故か風が助けに来てくれて、剣を振りかざしてきた黒服の者は捕まり、風の指示で城の中にある牢屋に閉じ込めた。
男たちの人数は5人だと言っていたが、4人を逃がし、どこに逃げ帰るか後を追わせたと言っていたが、その報告はまだ上がってきていない。
牢屋に入れた黒服の男の聴取は、風が行っていると聞いたが、まだその報告も上がってきていない。
聴取を行っている風も忙しいみたいで、城に戻って来てから一度も姿を見ていない。
私も私で、一人で視察に行ったことを老婆に注意されてしまい、一週間ほど自室で身体を休めるように言われてしまった。
だからこうして、王としての職務をするのは久しぶりだ。
「老婆よ、今日の会議で大臣たちに、風が護衛長になったことを伝えようと思っている」
自室から、会議が行われる部屋に向かっている途中でそう伝えた。
「左様でございますか」
老婆は数歩後ろを歩いているため、どういう表情で返事をしたのかがわからない。
暗殺未遂があってから、私の警備は前よりも厳しくなった。護衛長になった風の考えなんだろう。