姫は王となる。
「王様」
会議が行われる部屋まであと少しの距離で、風が目の前に膝まついた。
「…どうした?」
一週間ぶりに見た風の姿は元気そうで、護衛長としての紋章を胸元に付けている。
「会議の前に、お耳に入れたいことがございます。老婆にも…お時間を頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」
会議の前に、私と老婆の耳に入れたいことー?
「あちらの部屋を準備致します。警備兵、部屋の中を確認しなさい」
老婆がすぐに機転をきかせ、後ろにいる警備兵に命令した。
今いる場所から一番近い部屋の中を、警備兵たちに改めさせている。
「問題ございません」
一人の警備兵がそう報告すると、風が先に部屋の中に入った。
「警備兵は、人払いを。王様、どうぞ」
老婆は警備兵に指示を出すと、部屋に入るように促す。
「あぁ…」
風の後を追い、部屋の中に入った。
後を追うように、老婆も部屋の中に入り扉を閉めた。