姫は王となる。
「…そういうことになります」
私が問いかけるとしばしの沈黙の後、風は言いにくそうに返事をした。
「…」
…罠にハメられた。
¨王様は、何もしてくれない¨という国民の声を聞き、直接あって話を聞こうと視察を決めたのに…
それが、あの国土大臣の罠だった。
老婆の反対を押し切り、一人で視察に向かった矢先に、まんまと私が罠にハマったということかー…
「そうか…」
何か、情けなさを通り越してー…
ダメ過ぎる、私。
「国土大臣の行方はわかったのですか?」
うな垂れている私の代わりに、老婆が聞いた。
…え?行方って…
「いないのか?この城の中に」
風にそう問いかけると、さっきよりもさらに言いにくそうに…
「はい…王様の暗殺未遂が起こった日から、姿が見えないそうです」
頭を深く下げながら、風が言った。
「…そうか」
風と同じように、再び下を向きうなだれる。
罠にハマった挙句…首謀者に逃げられるとはー…