姫は王となる。
「落ち込んでいても仕方がありません。次の対策は考えてあるのでしょう?護衛長」
空気を変えるような、老婆のハキハキした声に顔を上げた。
次の対策?
「はっ…北国には密偵を送り、黒服の仲間と国土大臣の行方を探さしています。黒服の男に関しては引き続き聴取を行い、首謀者の名前をハッキリさせることと、北国の誰と繋がっているかを吐き出させます」
スラスラと出てくる風の言葉に、思わず感心してしまう。
護衛長になってまだ一週間だというのに、風はそこまで状況を把握して対策を考えている。
凄い…
「王様」
「!」
感心しながら、目の前に膝まついたままの風をじっと見つめていると、背後にいる老婆に呼ばれた。
「今から王様に対して失礼なことを言いますが、言った後のことはお好きになさってください」
老婆はそう言いながら、風の横に膝まついた。