姫は王となる。
"必ず…無事に帰ってきます"
風と今さっき、そう約束したのにー…
「花蘭様!」
「!」
大きな声で名前を呼ばれ、真っ暗になっていた目の前が現実に戻った。
「今すぐに、王妃様の元に向かいましょう。状況を把握次第ー…」
老婆が膝まつき、そう私に言っているとー…
「花蘭」
「!」
この声ー…
この場にいる全員が膝まつき、頭を下げた。
「お母様…」
さっきすれ違ったばかりのお母様が、目の前まで来た。
「王様の隊を襲ったのは、北国の者だと報告がありました。王様と王子は、亡くなったとの報告もありました」
ドクン!
亡く…なった?
こういう状況だというのに、お母様はとても落ち着いている。
「隊は、ほぼ全滅…そして、次は私を人質として北国に渡すよう要求がありました」
お母様の言葉に、周りがざわめき立つ。
「…どうして?」
どうして、お母様はそんなに落ち着いているの?
お父様と兄様は、本当に亡くなったの?
隊は全滅と言っていたけど、風は…
風は、生きているのー?