姫は王となる。
「王様がお生まれになられた時から、お世話させて頂いております。ですから、今さら王様に嫌気が差すことなどございません」
シレッと言った老婆の言葉に、ガックリとくる。
「…そうか」
けど、あの発言はただの八つ当たりみたいなもんだから、老婆がそうシレッと言ってくれたことにホッとする。
「突然、王位継承をし、まだ混乱されているとは思いますが、私や隣にいる風が必ず王様を守り、支えていくことを誓いますゆえ、何卒どうか王様のお側に…」
老婆がそう言うと風と共に、深く頭を下げ忠誠を誓った。
…守り、支えていく…かー…
風と老婆が側に居てくれることは、心強い。
それに私はきっと、この二人がいないと王としてやっていけない。
「…あぁ。けど、命を懸けてまで守るな。それが条件だ」
風を護衛長に任命した時と、同じことを言った。
「はっ。王様」
二人にそう言ったはずなのに、返事をしたのは老婆だけだった。
風は頭を下げたまま、黙っていた。