姫は王となる。
「では、王様。会議に参りましょう。大臣たちがお待ちです」
老婆はそう言いながら立ち上がり、部屋の扉に向かって歩き出した。
大臣たちが待ってるって…また、誰もいなかったら?
その不安が脳裏を過った。
「今日の会議には必ず出席するよう、大臣たちには伝えてあります。ご心配なさらずに…」
風も立ち上がり、そう言った。
「…そうか」
考えていたことがバレたことが恥ずかしいが、風の言葉にホッとした。
「行くぞ」
「はっ。王様」
老婆が開けて待っている扉に向かって歩くと、風は左側の後ろに付いた。
護衛長としての位置だ。
部屋から出ると、扉を開けて待っていた老婆が風の右後ろに付いた。
そして、その後ろから数人の警備兵たちが付いた。
これが新しい王の形ー…
"先代の王様は、先代の王様です。花蘭様は、花蘭様です。王族としての品格、振る舞い、そして誰に対しても優しく接されるお姿。その優しさはきっと、国民たちにも届くでしょう "
あの風の言葉は、私の心に焼き付いた。
私は私らしく、この国を守っていく。