姫は王となる。




会議が行われる部屋に着くと、扉の前にいた警備兵が頭を下げ、扉を開けた。


扉が開き、部屋に入る前に中が見えた。
席に座り談笑していた大臣たちが皆立ち上がり、王に向かって膝まつき頭を下げた。


「…」

その光景に驚き、一歩を踏み出せずにいるとー…


「王様、参りましょう」

小さな声で、背後から風がそう言った。


「…あぁ」

振り返りもせず答えると、部屋に足を一歩踏み入れた。


コツコツとヒールの音を立て、部屋の一番奥の王の席へと向かう。
その間もずっと大臣たちは、膝まついたまま頭を下げている。


王の退室時に、誰一人立ち上がらなかったのに。

最後の会議では、誰も参加しなかったのに。


大臣たちの一変した態度に戸惑いながらも、席に着いた。










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