姫は王となる。
部屋の外に出ると、数人の警備兵な膝まつき待っていた。
「…行くぞ」
「はっ」
そう声を掛けると、膝まついていた警備兵たちも立ち上がり、数歩離れて後ろから付いてくる。
「…」
"自分の命よりも大切に想われている花蘭様が、自ら危険な場所に赴こうとしている風の想いを、知っていて欲しいです"
風の元に向かいながら、さっき老婆に言われたことを思い出す。
私は風に、命を掛けて守るなと伝えてある。
この国のために…
私のせいで、風に死んで欲しくないからだ。
風がこの世からいなくなることが私にとって、一番の恐怖だからだ。
けど風も同じように、私のことを思ってくれている。
それは、わかっている。
けど、この国を守らなければならない。
私は王として、やるべきことをやらなければならない。
"花蘭様。この東国を…共に守っていきましょう"
再び風が忠誠を誓った時に、言った言葉。
共に…だ。
共に、この東国を守っていくんだ。