姫は王となる。
城の正門まで来ると、多くの護衛兵たちが準備万端で待っていた。
ここにいる全員が鎧を着て、腰には剣が差してある。
ドクン。
そんな光景を目の当たりにし、今さらだが心臓がドキドキしてきた。
これだけの装備…
今から向かう場所がどれだけ危険な場所か、改めて実感した。
「王様、お待ちしておりました」
風はそう言うと、目の前に膝まついた。
それと同じタイミングで、風の後ろに待機している護衛兵数百人も、膝まつき頭を下げた。
「…」
ゴクリ。
今まで経験したことがない緊張感に、唾を飲み込む。
「護衛兵120人が本日、王様の護衛をさせていただきます。誠心誠意、王様を御守り致しますことを誓います」
「「「誓います」」」
風の言葉の後に、120人の護衛兵たちが忠誠心を誓った。
「…」
ゴクリ。
言葉が出ない。
あまりの迫力に、圧倒されてしまう。
けど、伝えなきゃいけないことは伝えなきゃ。
「…全員、無事に帰ってくる。それが、王命だ」
護衛兵、総勢120人。
そして護衛長、風。
「「「はっ。王様 」」」
ここにいる全員が無事に帰ってくる。
それが、私の願いだ。