姫は王となる。
「…この臭い」
村の入口まで来ると、建物が焼けた臭いや、荒れ果てた畑などが見えた。
酷いことをー…
報告では聞いていたが、実際に来てみると、目も背けたくなる惨状。
「王様」
「!」
馬に乗ったまま村中を見渡していると、護衛兵の副長が目の前までやって来た。
「ご無事の到着、何よりです。王様が来てくださり、村人たちも喜びます」
副長はそう言いながら、膝まつき頭を下げた。
「被害の状況は把握できたのか?」
後ろで馬の手綱を握っている風が、副長に聞いた。
「はっ。村人50人いる中、助かったのは3人でした」
たった、3人ー…
昨日の報告よりも、事態は最悪な状況となっていることに目眩がする。
「家屋は全て焼け、今月収穫予定だった作物も全て焼かれてしまい、畑も荒れ果てております」
副長からの報告を聞き、目の前が真っ暗になりそうになる。