姫は王となる。
"大丈夫ですか?王様"
「!」
後ろにいる風が周りに聞こえないように、耳元でそう聞いてきた。
「…あぁ」
小さな声で返事をしたが、あまりの惨状に後ろにいる風に寄りかかってしまう。
「この村を襲った者たちの行方は掴めたのか?」
本当は私が聞かなければならないことを、風が副長に聞いた。
「それが、まだ…」
副長は言いにくそうに、小さな声で言った。
「王様が居られるんだ。安全確認や警備の徹底をしろ」
「はっ」
風が副長にそう指示を出すと、副長は走って村の奥へと行ってしまった。
「王様の側には、私が付く。出立前に決めた分担ごとに、持ち場につけ」
「「はっ」」
風が指示を出すと城から一緒に来た護衛兵たちも、各自持ち場についた。