姫は王となる。




女の子たちの泣きじゃくる声が聞こえなくなった頃、風が隣に並んだ。



「王様…大丈夫ですか?」

「…大丈夫だ。亡くなってしまった者たちに、手を合わせたい」

目を合わせないように、俯いたまま命令をした。


「…はい」


風は返事をすると近くにいた護衛兵を呼び、村の人々が埋葬された場所へと案内させる。


「参りましょう」

前には、案内をする護衛兵。
背後には、風が付いた。


焼け落ちた家屋、荒れ果てた畑を見ながら村の奥へと向かった。







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