姫は王となる。
「こちらでございます」
前を歩いていた護衛兵が道を譲り、膝まつき頭を下げた。
目の前に見えたのは、埋葬された多数の村の人々。
畑の一角に、47人が埋葬されていた。
遺体が埋葬されているであろう場所には、1ヶ所ずつ一輪の花が置かれている。
「…風、人払いを…」
背を向けたまま、風に命令した。
「…はっ。王様」
風が返事をすると、膝まついていた護衛兵が立ち上がり来た道を戻って行った。
徐々に足音が遠ざかって行き、その音が聞こえなくなったところで、その場にしゃがみこんだ。
「王様っ…」
「…私のせいなのだな…」
ボソッと出てしまった言葉。
「…ごめんなさい…」
47人が埋葬された場で、手を合わせ謝罪をした。
"王様に力がないから私たちの村が襲われた!!お父さんやお母さんが殺されたのは、王様のせいだ!!!"
泣き叫びながら言った、女の子の心の悲鳴。
この中に、あの子達のお父さんとお母さんがいる。
亡くなってしまった者は、もう二度と戻って来ない。
あの子達の両親は、いなくなってしまった。
それがどんなに辛いことかー…
私に力がないせいでー…
王として、国民を守れなかった。