姫は王となる。
北国の王
「王様、そのままで」
「…え?」
拝んでいた顔を上げると、風が背を向け腰に差していた剣を抜いた。
何ー…
「これは、これは花蘭女王様。大きくなられましたな」
埋葬された場所の背後にある森の中から、兵士を連れた年配の男が出てきた。
誰ー…?
しゃがみこんでいた身体を立ち上がらせ、風の背後から男を見た。
今、大きくなられましたなって言ったけどー…
「王様、あれが北国の王です」
「!?」
風の言った言葉に驚き、目を見開いて男を改めて見た。
あれが…北国の王ー…
父様と兄様を殺し、母様を人質に取っている王。
そしてここに埋葬された、47人の村人を襲った王。
「…っ」
あいつがー…
怒りで、身体が震える。