お日様のとなり
強引なスカウト


「部長、新しい部員連れてきました」

……は?

部員っ?!

2階のクラス棟から連絡している旧校舎に入り、その1階。

主に使われていない空き教室の扉には”写真部”と手書きで書かれた紙の札が見えた気がする。

錆びれた鉄の扉をガラガラと開けたその瞬間、意気揚々と男の子が発した言葉に、私は唖然とした。

「君は……」

「あ、無表情姫!」

中にいた部員らしき男女2人の生徒が私の姿を見て立ち上がる。

その表情から、この2人も私のことを知っているのだと分かり、下を向いて密かに眉根を寄せた。

教室の面積の半分が物置と化し、残り半分に棚や机をぎしっと並べられた、お世辞にもキレイとは言えないその空間。

どこから調達してきたのか。教室で生徒が座るには不似合いなキャスター付きのグレーの丸椅子が、女子生徒が立ち上がった勢いで悲鳴を上げてくるくると回り続けていた。




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